避暑地の約束
あなた憶えているでしょうか
夕暮れが近づくたびに
涙が胸に重いの
都会から着いた
夏の汽車の窓にあなたを
探しながらホームを駆けた
野に咲く白い花一輪手折り
やりきれなくて
あきらめたくて
忘れられなくて
切なさだけがあなたに続く
夢の道標
避暑地の約束
長い夏休みが終って
トランクに本を詰める
あなたの部屋を訪ねた
避暑地の少女を
あなた憶えているでしょうか
胸元に朱い花片
あなた残した想い出
人目を避けて忍び込んだ落葉松林
友だちにも打ち明けられぬ
密やかな出来事胸を焦すの
やりきれなくて
あきらめたくて
忘れられなくて
心の時計止まっています
針が折れたまま
避暑地の約束
今日も最後の汽車が出てく
唇に引いたルージュ
そっと落として帰るわ
避暑地の約束
あなた憶えているでしょうか
夕暮れが近づくたびに
涙に変わる約束