隙だらけの背中に羽はない
大きな傷が残っているだけ
訳あって失くしちゃったんだと
少し前に聞いたばかり
私たちは一人に一色の
羽 与えられて生きている
あなたの羽は何色だったの?
笑ってあなたは答えない
私、あなたに隠し事をしてる
私は羽を与えることができる
そのかわり私の羽はなくなるけど
あなたにならあげていいよ
どんな色が似合うだろう
私の黄金はあなたに似合うかな?
冗談めかし そんなこと言ったら
あなたは見たことない顔して
「今すぐ失せろ」と言った
隙だらけの背中に羽はない
大きな傷が残っているだけ
あなたが自分で切り落としたんだと
少し前に知ったばかり
私たちはなぜ一人に一色の
羽 与えられて生きているの?
羽のあるあなたはどんなだったのか
もう二度と浮かべたりしないよ
僕は君に隠し事をしている
僕は昔、羽を与えることができた
君を彩ってる黄金色は
本来 君の色なんかじゃない
初めて会った君の羽は
見たことないほど黒い色をしてた
黒い翼は不幸を呼ぶ噂
君はいつも同じ顔して
「消えたい」と呟いた
違うよ、消えるべきは君じゃなくて
その漆黒の羽のほうだろ
「記憶と引き換えに、羽の色が変わるなら
そうしたいと思うかい? 」
どんな色が似合うだろう
ごめんね僕に選ぶ力はないよ
でも僕の黄金色はきっと君に似合うだろう
さよなら
また今度、「初めて会った」ら
素敵な羽だと笑顔で褒めてあげる
泣き疲れて眠っている君に
そっと移し変えるために
僕はとびきり大きい刃物を
震える手で背中にあて
羽を切り落とした
隙だらけの背中に羽はない
大きな傷が残っているだけ
訳あって失くしちゃったんだと
少し前に言ったばかり