さくらの花は狂い咲き
春告げ鳥は狂い無き
人形遊びの日は暮れて
紅燃ゆる瞳の奥に
何を映して、涙する
遠い昔の異人さん
あの日の船を、待っている
さくらの花は狂い咲き
桃園老に、春が来る
朧月夜は手鏡に
覗いた顔は青ざめる
明日の夢は誰の夢
一人地獄を彷徨って
遠い昔を思い出す
淀み続く春嵐
霞む夜空に花は散る
さくらの花に埋もれて
死ねるのならばこのようには
何の魅力もないけれど
さくらの花は狂い咲き
春告げ鳥は狂い無き
やがて私は散り急ぐ
薄墨色の鳩に鳴く
春に鳴く