いくさがおわりあれはてたまちを
ひとりのきしがあるく
かれはだれよりせんがをあげた
だれよりひとをころした
てきこくのたみはそのすがたおそれ
ひっしにいのちごいをする
しかしそのねがいをかれが
ききいれることはけしてない
おんなのなきがらがかかえた
むじゃきにほほえむあかご
かれはつめたいめのまま
つるぎをふりあげた
えいゆうのよろいはつねにあかく
それはきっとあびたかえりちのいろ
だれかのためのおこないだとしても
それをせいぎとよべるのか
それからごねんのつきひがながれ
いくさはきょうもつづく
きしをかりずまいでまつのは
ひとりのかれんなしょうじょ
あのときかのじょのふくにぬわれた
こうけのもんにきづいた
てもとにおいてあけばいつか
ひとじちくらいにはなるだろう
おかえりとうさんとほほえむ
むじゃきでおろかなむすめ
おまえのおやをころしたのは
このおれだというのに
えいゆうのよろいはつねにあかく
それはきっとかれのやしんとおなじいろ
だれかのためのおこないだとしても
それをせいぎとよべるのか
せんじょうには
さまざまなものが
はびこっている
しょうりはいぼくにくしみときのうん
そしてうらぎり
きがづけばきしは
おおぜいのてきにかこまれていた
かれらがただのへいしでないことは
あきらかだった
おとなしくむすめをさしだせ
とせまるくろしょうぞくのろうば
したがえばおそらく
むすめのいのちはないだろう
しかしそれはきしにとって
のぞむところだったはず
そのためにこのこをいままで
かっていたのだから
けんをもちきしをまもるように
まえにたったものがいた
ふるえてるちいさなせなか
それはおさないあのこだった
あわれなむすめよ
おまえがちちとしたうものは
いままさにおまえをうろうとしていたというのに
きしはむすめのあたまをやさしくねてたあと
ころしやにむかってつるぎをぬいた
えいゆうのよろいはつねにあかく
それはきっとあびたゆうやけのいろ
ちぬられたじだいのなかてをつないで
あるいていくきしとむすめ
せんじょうにはせいぎもあくもない
ぞくざいのひはいつかやってくるだろう
やがてくるそのときまでかれは
ちちでいようとけついした