はちがつじゅうごにちの
ごごじゅうにじはんくらいのこと
てんきがいい
びょうきになりそうなほど
まぶしいひざしのなか
することもないからきみとだべっていた
"でもまあなつはきらいかな\"
ねこをなでながら
きみはふてぶてしくつぶやいた
ああ、にげだしたねこの
あとをおいかけて
とびこんでしまったのは
あかにかわったしんごうき
ばっとおったトラックが
きみをひきずってなきさけぶ
ちしぶきのいろ、きみのかおりと
まざりあってむせかえった
うそみたいなかげろうが
"うそじゃないぞ\"ってわらってる
なつの水いろ、かきまわすような
せみのねにすべてくらんだ
めをさましたとけいのはりが
なりひびくべっどで
いまはなんじ
はちがつじゅうよっかの
ごぜんじゅうにじすぎくらいをさす
やけにうるさいせみのこえおぼえてた
でもさあ、すこしふしぎだな
おなじこうえんできのうみたゆめを
おもいだした
"もうきょうはかえろうか\"
みちにぬけたとき
まわりのひとはみんな
うえをみあげくちをあけていた
らっかしてきたてっちゅうが
きみをつらぬいてつきささる
つんざくひめいとふうりんのおとが
きぎのすきまでからまわり
わざとらしいかげろうが
"ゆめじゃないぞ\"ってわらってる
くらむしかいにきみのよこがお
わらっているようなきがした
なんどせかいがくらんでも
かげろうがわらってうばいさら
くりかえしてなんじゅうねん
もうとっくにきがついていたろ
こんなよくあるはなしなら
けつまつはきっとひとつだけ
くりかえしたなつのひのむこう
ばっとおしのけとびこんだ
しゅんかんトラックにぶちあたる
ちしぶきのいろ
きみのひとみときしむからだに
らんはんしゃして
もんくありげなかげろうに
"ざまみろよ\"ってわらったら
じつによくあるなつのひのこと
そんななにかがここでおわった
めをさました
はちがつじゅうよっかのべっどのうえ
しょうじょはただ
"まただめだったよ\"と
ひとりねこをだきかかえていた